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倒錯・2

 (承前(倒錯・1))










「全部お前にやる」
「それも綺麗に舐めとれ」



返事はできなかった。
口答えは許されないことを知っている。
だから私は首を振り、無言のまま主にいやだと目で訴えた。


だって、いくらなんでも。
床だ、落ちているのは。
足を舐める、性器をくわえる、口を使う大抵のことにフェティシズムを持っていると言える程それに溺れる自分をわかっているけれど。
だけど床は嫌。
そんなことできない。
そんなことをしてはいけない。


「舐めろ」


自分の目に涙が滲んでいることに気づく。
お願いです、そんなことをさせないで下さい。
私は必死で主をみつめて黙って呼びかけた。
そんなことをさせないで下さい。


けれど、どれだけ気持ちをこめても主の視線はまったく揺らがない。


「舐めとれ」


わかってる、いやしくも奴隷を従える主たる男がこんな無言の懇願で折れてくれるわけもない。
どれだけ訴えても無駄だとわかってる。

だけど、いくら私が奴隷でも、そんなことをしてはいけないのです。

主に私のその気持ちは伝わっているのか。
主はわかっているのか。


問うことなどできないだろう。
私はこの人の恋人だ。だけど同時に、絶対の服従を約束させられた奴隷だ。


私は目を伏せる。
顔を上げたときと同じように、のろのろと下を向いた。


「そうだ」


主の声が甘くなる。
命令と誘惑を使い分け、時に強引に時に宥めすかしながら私を自分の世界へと引きずり込んだ男の、自信と優越を湛えた声。


ぺたりと座り込んで床につけていたお尻を上げて、膝をついた。
こんな時でさえ上からの主の視線を意識してきれいに見えるような姿勢をとろうとする自分を、あさましいと呪った。


四つん這い。
獣の格好。


両手の間の一滴をみつめる。


いけない、こんなことをしてはいけない。
床に落ちた精液を舐める、いくら自分が奴隷でも、こんなことをしてはいけない。
ここまで卑屈なことをしてはいけない。


ああ、だけど。
本当に私はこれを望んでいなかった?


みつけたその瞬間に、主にこう命じられることを願わなかった?


ゆっくりと肘をつき、体を低くする。


ああ、もうすぐ。
私は。
してはいけないことをしてしまう。


主の視線が痛い程感じられる。
それは間違いなくしあわせなこと。


見ていて下さい。
足許に這うことが大好きなあなたの奴隷が、
とうとう床まで舐めるようになるのを。


あなたが中毒させたもののために、
そんな卑しいことまでするようになるのを。


舌を伸ばす。
ゆっくり顔を下げていく。


うれしい。
命じられたかったんだ。


爆発的に自分の中に湧き上がる歓喜。


してはいけないことだからこそ命じられたかったんだ。


さあ、こうして、主に見守られて。
床にこぼれた精液すら舐める最下層の奴隷になりましょう。


そこまで堕ちましょう。






110714_02.png






ぺろり。
一瞬だけ舌先に感じた主の味と、口にしたことのない苦み。ざらつき。


硬直する。
体と感覚の当たり前の防御反応。
本能的な嫌悪。


してはいけないことをしたの。
たった今、私は人がしてはいけないことをしたのです。


胸が張り裂けるような悲痛と、目がくらむような被虐の快楽。


二度、三度、舌を伸ばす。
もう大丈夫。できる。
いいの悲しくても。
主がきっと褒めてくれるから。


床や地面にこぼれた餌を食い、なくなっても意地汚くその場所を舐め続ける獣を思い浮かべる。
私がしていることはそれと同じ。
その屈辱に淫し、卑しい姿勢を主の目の前でとる歓びを存分に味わいながら、私は何度も床に舌を這わせた。
そこにあった一滴の残滓すら残さぬように。


息をつく。もうそれは甘やかな喘ぎ声。


「よしよし」


楽し気な主の声。
ああ、やっと褒めてもらえる。


肘を上げ、体を起こす。
お尻を踵の上に乗せて、手を前につく。
お座りを命じられた犬のような姿。


主が優しく頭を撫でてくれた。


・・・舐めました


「よくできた」
「おいしかったか?」



・・・はい


(続く)
 

tag : 主かく語りき屈辱玩具

倒錯・1

110711_01.png




主が私を跪かせ、いつものようにこの口を使う。


髪を掴まれ頭を動かされる。
喉の奥を突かれ、繰り返しこみ上げる吐き気。
その度に呻き声と共に口蓋を開き、嘔吐しないようにやり過ごす。
えずき苦しむ声を主が楽しんでいるのを感じられれば、それは同時に被虐の快楽になる。


口中で膨れ上がったそれが一際深く咽頭を突き立てるから、きっともうすぐに吐き出されるものを味わおうと、ぎゅっと目を閉じて身構えた。
だけど主はそれを勢い良く引き抜き、ぽかんと開いたままの私の口許や胸に撒き散らすように射精した。


私は深く息を吐く。
さっきまでの強烈な胸苦しさが消えていくのを待ち、呼吸を整えながら、目を閉じたままゆっくりと手を持ち上げる。
指先で頬や顎をなぞり、そこに振りかけられた熱いものを拭っては唇に運び、それを舌先で味わった。
まだ荒い呼吸の主が蔑むように私を見下ろしている。


「おいしいか?」


・・・はい、おいしいです、ありがとうございます


主が喉の奥で笑った。


「精液中毒だな」


私はゆっくりと目を開き、主を見上げてうっとりと笑い返した。
気持ちがいい・・・。





110711_02.png





唇を撫でていた指をきれいに舐めて手を床に下ろしたときに、それに気づいた。
一滴、こぼれたもの。
ちょうど両の手の間にぽつんと落ちているそれは、紛れもなく主のもの。
私は思わず小さく声をあげた。


「どうした?」


頭上から主の声。


なんでもないと言えばいい。
そうすれば主は気づかない。
だけど嘘をついてもいいの?


答えをためらったわずかな時間で、私が見ているものを察したのだろう。
主が発している空気がすうっと冷えた。
私はおそるおそる顔を上げる。主の表情を伺う。
そこにあったのは、さっきまでの快楽の放恣とした穏やかさが消えた、サディストの顔。


どうして見つけてしまったんだろう。
見つけなければよかった。
自分の顔が歪んでいくのを止められない。


「全部お前にやるよ」


私はぎゅっと歯を食いしばり、小さく首を振る。
こうなることがわかっていたから見つけたくなかった。
主を見返す自分の目は、まるで睨み返しているようだろう。


「精液中毒の奴隷だよな?」


ためらってから、それでも頷いた。
まだ主を恨みがましく見返したまま。


「全部お前にやる」
「それも綺麗に舐めとれ」




(続く)
 

tag : 主かく語りき服従屈辱

いい子だ

主のお気に入り、更新しています。今回はこのブログと同じテーマ。こちらからどうぞ。





後ろ手で拘束されながら挿入される、それが嫌いなマゾの女はいないだろう。


主は私の体をじわじわと刺し貫いた。
どれだけ慣れてはいても、最初の瞬間のそれはめりめりと広げられる苦しみ。
思わず腰を引いて逃がれようとした私を抑えつけ、耳元で囁いた。


「いい子だ」
「俺の玩具」






110619_01.png





もがいていた体が止まる。
そんなことを言われたら。


ぬるぬると蠢く粘膜が膨れあがり、主の動きに合わせてめくれあがり、また巻き込まれる。
体がぐちゃぐちゃになって、もう受け入れてる。


「ほらもっと」
「俺を楽しませろ」



・・・ああ





110619_02.png




そう、私の体だけが主の玩具なのではない。
私の頭の中、心、全てが主を楽しませるためのもの。
あげる声、訴える言葉、反応。爪先から髪の先までの体中。


主が自分のサディズムと欲望を満たす為に色々なことを教え込み、
最高の楽しみを味わえるように作ってくれた、私は人形だ。


愛する男の快楽の最高の道具である誇り。
床に頬をこすりつける屈辱を与えてもらえる光栄。
サディストの昏い欲望で汚され得られる浄化。
苦痛で叫び小さな子供のように放恣に泣く解放。
自分自身の快楽という歓喜。
私の中のたくさんの矛盾。
主がいてくれるから抱えきれる。


「ありがとうございます、は?」


・・・ありがとうございます


「いい子だ」


・・・どんなに歪んでいても。
これを至福と言わずして何と言うのだろう。







別件ですが。私の友人たちに。

随分前から私のレイヤー服の他の人への反映の遅さが目立っていたのですが、最近特に状態が悪化しています。
私からはきちんと着ているのに他人の目にはそう見えていない可能性があるというストレスが、自分の中で限度を越えました。もう頭がおかしくなりそう。

解決策を探し主とも随分話し合いましたが、特定のものだけはすぐに反映され、あるものは何度もリベイクとキャッシュクリア、リログを繰り返してようやく反映される等、低スペックが原因とするにはあまりに不可解なことが多いのです。そして、明確な解決策がない以上、今は閉じ込められた奴隷の生活を楽しむように暮らすことが一番だと二人で結論を出しました。

しばらく、主に着衣の確認をしてもらった状態の時以外は、一切の外出を控えます。地上にも降りません。呼ばれても行くことができないことも多いかと思いますが、事情鑑みてご理解ください。

一度確認ができれば、着替えない限りは常に問題なく着衣で反映されるようですので、一人で行動できないということではありません。
ただ、裸に見えているんじゃないかと怯えながら普通の生活をするよりも、衣類着脱全て主の管理下においてもらい、贅沢なスカイエリアに閉じ込められた奴隷の生活を楽しむ方が、ずっと気持ちが楽なのです。
主も同様に考えてくれ、そもそも私が着飾るのは自分(主)の為なのだからそれでいい、お前の居場所はここだと面倒を全て引き受けてくれました。

私はこうして主の写真で裸を晒していますが、それを見るのはこのページや主の写真集を開いてくださった方だけです。
不適切な場で裸で行動することを楽しむ露出狂ではありませんし、そのように見られたくもありません。何よりも、誰かに迷惑をかけたくはないのです。

どうかご理解ください。よろしくお願いします。



 

tag : 主かく語りき屈辱

プロフィール

akira and shiori

Author:akira and shiori
米リンデンラボ社が運営するメタバース、Second Life(SL)の片隅で静かに暮らすサディストとマゾヒスト二人の日常です。
18才未満の方とBDSMに不快感を覚えられる方の閲覧をお断りします。

!!! attention !!!
・私たちのReal Lifeについてのご質問にはお答えいたしません。
・無躾と感じられる一行レス等は管理者の判断にて削除いたします。あらかじめご了承ください。

all photos are taken by akira3 Nemeth.
all articles are written by shiori Sorbet.

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