The Red Room
BDSMだけど穏やかな、二人で暮らす日々。
- 2008 . 07 «
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
- 10
- 11
- 12
- 13
- 14
- 15
- 16
- 17
- 18
- 19
- 20
- 21
- 22
- 23
- 24
- 25
- 26
- 27
- 28
- 29
- 30
- 31
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
最初の日のこと
「しおりは生まれながらの奴隷になるんだよ」
最初に彼はそう言った。
「おいで」「僕の許へおいで」「可愛がってあげる」
「でもね」
でも・・・?
「僕の奴隷として、新しく生まれるんだよ」
「奴隷として暮らすんだよ」
そうして連れて来られたのは、メインランドのプロテクト・ウォーターに面したビーチに立つ邸だった。
大きな窓、選び抜いたことが一目で分かるような上質の家具、白で統一された明るいリビング。
その上空に、この赤い部屋。
赤で統一された豪華なインテリア。まだその頃は檻もなかった。
禍々しい道具や鎖をつなぐためのものがあちらこちらにあるのに、想像したようなおどろおどろしさは全くない。
むしろ、静謐。空気さえ冷えているように感じた。
ここで私は最初の首輪を彼から嵌められた。
それから2ヶ月。今は当たり前のように、この海沿いの邸で二人で静かに暮らしている。
彼は、ほんの少しシェイプをいじっても眉の形を変えても気づいてくれるような、心こまやかな優しい恋人であり、私の最愛の主になった。
tag : 首輪
檻
主の許で暮らすようになってしばらくは、何もかもが不安だった。
主は最初に「僕の好みどおり、思いどおりのものになるんだよ」と言ったとおり、顔も髪も着るものも、すべて自分で選んだものを私に買い与えてくれていた。
それは元々の自分の好みととても近くて、それだけは一安心していたのだけど。
でもまだ見慣れない顔と体のシェイプをいじる以外にすることもなく、主のインを待つ時間は、とても長かった。
目の前はプライベートビーチなのに、ファッションには見えないスチールの首輪に手枷と足枷のせいで、そこまで出ることも怖い。それで、この赤い部屋に閉じこもる。
言葉にできない不安でいっぱいだった。
まだ主の言う奴隷という立場がどういうものなのかわからなくて、どう過ごせばいいのかわからない。
この先どうなっていくのかわからなくて、とても怖い。
でも、どこかに拘束されている間は、その怖さを感じないですむ。ただここで動けないという事実を受けとめているだけでいいから。
それは不安ではなくて、むしろ安心するような感覚。
主にはそう説明していた。
ある日、いつものようにログインすると、見慣れないメッセージ。
shiori in cage と一行。
読み込みが済んで、初めて自分が檻の中に入っていることに気づいた。
昨夜アウトした時にはこんなものはなかったのに。
パニックを起こしかけた、ちょうどその時に、主が目の前にログイン。
少ない言葉から、主の興奮がつたわってくる。
はずかしさと恐怖で泣きそうになる。
主が檻の周りをゆっくりと歩きながら、私を舐め回すように眺めていた。
その時私が感じていたのは、閉じ込められた恐怖感と見られている羞恥だけじゃなかった。
動物が飼われるように居場所を定められて、ここで主の思うままになっていればいい、何も考えることも選ぶ必要もない・・・その甘やかな絶望感。
一番怖いものは、そう感じた自分だった・・・。
そんなことを言葉にはできず、ただ怖い怖いと繰り返す私に、主は慌てて檻の扉を開き、体を抱きしめてくれた。
私が半分泣きながら怯えた理由を説明し終えるまで、そのままずっと抱いていてくれた。そして、
「楽しかったよ動揺が伝わってきて^^」
「いっぱい怖がりなさい」
「よしよし^^」
そう言って笑った。
今も主を待っている時は、必ずこの檻の中。
目の前に主が現れて出してくれるまでを、どきどきしながら過ごすようになった。